推理小説の部屋

ひとこと書評


コロナ漂流録 2022銃弾の行方/海堂尊 (実業之日本社文庫)

★★★  

「コロナ○○録」シリーズ3部作、完結編。

(2024.03.31)


居酒屋「一服亭」の四季/東川篤哉 (講談社文庫)

★★★  

「純喫茶『一服堂』の四季」に続く「一服○」シリーズ第2弾。 正直前作忘れているんですが、「続編は難しいだろうな」と感想で書いてありました。 しかし「二代目安楽椅子(ヨリ子)」という離れ業を使うことで、まさかの続編が誕生。

鎌倉にある、見た目普通の住居としか思えない居酒屋「一服亭」。 女将の二代目・安楽椅子(ヨリ子)は、初対面の人には気絶してしまうほどの人見知りという、 全く接客業に向かないタイプだった。しかし、料理を作りながら聞いている情報を元に、真相を言い当てる……。

東川篤哉先生お得意のユーモアミステリでありながら、猟奇殺人が絡む、というのは前作と同じ。 料理を出して間違った方向に推理を誘導した上で罵倒する、って初代でもありましっけ? ささやかな叙述トリックもありました。

(2024.03.25)


修羅の家/我孫子武丸 (講談社文庫)

★★★  

晴男は中年女性・優子に強姦殺人の現場を目撃され、彼女の家に連れて行かれる。 そこには男女10人ほどが「家族」として暮らす異様な家だった。 一方、区役所で働く北島は、変わり果てた初恋の女性・愛香と再会する。

晴男視点の章と、北島視点の章が交互にある構成ですが、そこに仕掛けが。 フィクションかと思ったら、ベースとなる実在の事件があったのですね。

(2024.02.18)


世界で一番透きとおった物語/杉井光 (新潮文庫)

★★★★☆

電子書籍化不可能と言われる話題作。

大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去。浮気相手の子として生まれ、父親と会ったこともない藤阪燈真は、 ひょんなことから父の遺稿「世界で一番透きとおった物語」を探し求めることに……。

いやー、びっくりしました。仕掛けに気づいてからは「マジかよ……」の連続。 何言ってもネタバレになりそうなので多くは語れませんが、 こんな可能性があるんだな、と思いました。

(2024.01.28)


ムシカ 鎮虫譜/井上真偽 (実業之日本社文庫)

★★★☆ 

スランプに悩む音大生グループが、夏休みに小さな無人島を訪れる。 その島「笛島」は、音楽にまつわる神「オセサマ」がいて、音楽に関するご利益があるという。 しかしその島には、人間を襲う凶悪な虫たちが生息していた……。

「その可能性はすでに考えた」「探偵が早すぎる」などの超絶探偵を生み出してきた井上真偽の、新作。 これまでの作風と違って、パニックホラーの様相。しかし中盤、「探偵役」と「悪役」が登場し、 そこからは「伝承の謎」を論理的に解決していくあたり、本格のテイストはちゃんと盛り込まれています。

(2024.01.21)


夜の向こうの蛹たち/近藤史恵 (祥伝社文庫)

★★★  

小説家でレズビアンの織部妙は、美人と評判の新人作家橋本さなぎの処女作に嫉妬していた。 しかし本人に会ってみると違和感を覚える。彼女が惹かれたのは、さなぎの「秘書」をしているという初芝祐のほうだった……。

3人の女性による心理的な駆け引きの物語。途中で「ゴーストライター?」という推測は誰でも覚えると思いますが、 真相はその斜め上を行ってました。

(2024.01.21)


畏れ入谷の彼女の柘榴/舞城王太郎 (講談社文庫)

★★★  

舞城王太郎先生の短編集。タイトルからすると、「されど私の可愛い檸檬」 「私はあなたの瞳の林檎」に続くフルーツシリーズなんでしょうか。

記憶にないのに突然妊娠した妻の秘密とは……?表題作「畏れ入谷の彼女の柘榴」。
40年ほど前に行方不明になった子を探すと人語を離す猿といたずら好きの蟹が現れた?「裏山の凄い猿」。
他人の心残りを昇華する役目を持つ不思議な家に生まれた三きょうだいの話「うちの玄関に座るため息」。 の3編を収録。

どれもちょっと不思議な現象と、会話劇で成り立っている物語。 登場人物が何か欠落していて、それを会話の中で自覚していく、という構成が共通しているようです。

(2024.01.04)


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