推理小説の部屋

ひとこと書評


隕石誘拐 宮沢賢治の迷宮/鯨統一郎 (光文社文庫)

★★★  

「邪馬台国はどこですか?」の鯨統一郎さんが送る、 宮沢賢治の著作を巡るミステリ。

宮沢賢治は七色に光るレインボー・ダイヤモンドの鉱脈を見つけていた。 そしてそのありかを、幻の「銀河鉄道の夜」第5稿に隠していた? 宮沢賢治の暗号を巡り、誘拐事件が起こる…

相変わらず与えられた材料から強引な解釈を加えて、 ミステリに仕立て上げてしまう能力はすごいですね(褒めてますよ、もちろん)。 ちょっとファンタジーっぽい設定もあったりして。

(2002.03.31)


天使の殺人 [完全版]/辻真先 (創元推理文庫)

★★★  

犯人は天使。しかし被害者は誰か、犯人は誰か、探偵役は誰か、作者は誰か、 全ては謎に包まれた、メタミステリ……。

「天使の殺人」という劇団の内幕を舞台とした劇をめぐる、メタ殺人事件。 劇なのか、現実なのか、劇中劇なのか…何重にも重なる中、 一体何が現実なのかわからなくなっていきます。 しかも天使まで出てきて、もうわけわからんって感じ。 しかし小説版の辻褄の合せ方は見事ですね。 これが約20年前(1983年)に書かれてたってのは、 確かに「早すぎた」のかもしれません。

さらにこの[完全版]では、小説版の元になった戯曲版も収録されてます。 戯曲版はまた小説版と後半の展開が全然違うところが細かいですね。

(2002.03.26)


垂里冴子のお見合いと推理/山口雅也 (講談社文庫)

★★★☆ 

最初にタイトルだけ見たときには「たるさとさえこ」だと思ってたんですが、 「すいりさえこ」だったんですね。フザケタ名前だ(笑)。

33歳になる垂里家の長女・冴子はいまだに独身。普段から着物を着て、 度の強い分厚い眼鏡をかけ、本を愛する冴子は、 「お見合い界の孤高のハンター」である伯母の合子のセッティングのもと、 何度もお見合いに挑むのだが、なぜかいつも事件が持ち上がり、 ご破談になってしまうのだ。 いつもはおっとりした冴子が、眼鏡を外した時、 冴子の推理が炸裂する。

山口さんの作品の中ではかなり珍しく、死体もパンクもパラレルワールドも登場しないのですが、 「お見合い」と「推理」という変わった組み合わせで面白かったです。 登場キャラがいいですね。特に冴子の妹で全く対照的なイケイケ姉ちゃんの空美のキャラは、 とっても楽しかったです。

続編もあるようで、楽しみ。でも冴子さんには早くいい人が見つかって欲しいですが(笑)。

(2002.03.23)


地球儀のスライス/森博嗣 (講談社文庫)

★★★  

森博嗣さんの第2短編集。全体的な雰囲気は第1短編集まどろみ消去に似てますが、 あれよりは少しわかりやすい作品が増えたかな、という気もします。 でもシリーズものに比べると幻想的な作品 (解説の冨樫義博いわく「文系」な作品)が多かったり、 シリーズとは違った魅力が楽しめます。 また、犀川&萌絵シリーズの短編も2本入っていて、 本編は終わってしまいましたが、その後の彼らが見られるのもファンには嬉しい限り。

個人的には、その犀川&萌絵 シリーズの2本「石塔の屋根飾り」と「マン島の蒸気機関車」は面白かったですね。 特に普段は「名脇役」を演じている執事の諏訪野が大活躍(笑)するところが。 あとは「小鳥の恩返し」「片方のピアス」「気さくなお人形、19歳」 「ボクは秋子に借りがある」あたりが面白かったです。

で、「マン島の蒸気機関車」の中に出てくる機関車とターンテーブルのパズルですが… 一応自分なりに考えてみました。 が、やはり前提条件を思いっきり勘違いしてたようです。 (以下ネタバレのため、知りたい人だけドラッグしてください):

貨車の2つの台車の向きを矢印、連結器を+で
[←AB→]+ のように表すと、
この一方だけがターンテーブルで回るということのようです。
つまり
[←A←B]+ みたいになるってことですね
(実物を見てないんでいまいち想像できないんですが、
こんな状態でちゃんと動くんでしょうか?)

で、分岐点のところまで引きずっていって、

(1)
―――――――[←A←B]+
          |
――――――

(2)
―――[←A
         B
―――― ↓]+

(3)
――――[↑――
         A
――+[←B


(4)

―――――――
         |
+[←BA→]

で前後が入れ替わると。うーん、やっぱり想像しづらいなあ。 なんか模型かなんかでやってみると、一発で理解できるのかもしれませんが。

しかしこんなにに長いこと人手で引きずらないと方向転換できないの?

(2002.03.30追記)

(2002.03.22)


ナイフが町に降ってくる/西澤保彦 (祥伝社文庫)

★★★  

西澤保彦さんの「SF新本格」系。 今回は、「謎にぶちあたると時間を停止させてしまう体質を持つ青年」が、 「その時にたまたま巻き込まれてしまった女子高生」と共に、 謎を解き明かす物語。なにしろ、時間停止が解ける条件が、 「本人が納得すること」なもんだから、謎を解かねば2人は永遠に「時間牢」の中。

と設定は相変わらず魅力的なんですが、今回はちょっとミスリードがうまく行ってないかな、 という印象。ほとんど2人の会話だけで進み、しかもデクスターばりの (あるいはタック&タカチシリーズばりの)様々な仮説検証が行われるのですが、 客観的視点に立っている読者からすると、 見当違いの議論を延々と繰り返しているようで…。

まあでも、真奈のキャラクターはなかなか魅力的ではありますね。

(2002.03.16)


少女達がいた街/柴田よしき (角川文庫)

★★★☆ 

「ミステリを書く!」で紹介されていて、 面白そうだったので読んでみました。

前半は1975年の東京を舞台とした青春小説。 渋谷が若者の街となりつつあった時代、 ロック好きの天涯孤独の女子高生が、まさにセックス、 ドラッグ&ロックンロールの渦へと巻き込まれていきます。。

しかし後半、21年後の1996年のパートになると、 物語は一転してミステリへと突入。 生き残った少女は誰なのか?何のために?そして犯人は? 既に時効となった事件のさまざまな謎が一気に解けていく様は、 まさにミステリの醍醐味。オススメです。

(2002.03.10)


名探偵 水乃サトルの大冒険/二階堂黎人 (講談社文庫)

★★★  

旅行代理店に務める新人OL・由加理が入社以来密かに憧れる上司・課長代理・水乃サトル。 しかし彼を知る者は「彼だけはやめておけ」という、 その容姿とは裏腹な変人なのであった。 女にも時間にもルーズ。 世界各国のマイナーな言語から、特撮・アニメ・ゲーム、 そして実際の犯罪にまで、幅広い知識を駆使するサトルが、 あちこちに首を突っ込む。

というわけで、水乃サトルが活躍する短編集。 長編の「軽井沢マジック」が第1作だったようなんですが、 読んでないやこれ(笑)。 まあ、多分読んでなくてもそれほど影響はありませんでしたけど。

「二階堂蘭子シリーズ」とは対照的な、軽い感じのミステリです。 真相わかるの早っ!いくら何でもそれだけの手がかりで…は強引だろ! と思わないこともないですが、まあこれはこれでいいのかな。

しかし別に「人間が書けてない」なんていうつもりは微塵もありませんけど、 魅力に欠けるキャラクターではありますねえ。

(2002.03.05)


ミステリを書く!/綾辻行人・井上夢人・大沢在昌・恩田陸・笠井潔・京極夏彦・柴田よしき・法月綸太郎・馳星周・山口雅也、インタビュアー/千街晶之 (小学館文庫)

ミステリ作家たちの、作家になったきっかけや、執筆の実態を聞くインタビュー集。

いやあ、みなさん個性がありますね。 ミステリにハマるきっかけなどは、ルパンやホームズ、クイーンなどとかなり似てるんですが、 執筆ペース、読者に対する気持ちなどは、かなりバラエティに富んでますね。

しかし最近、こういう評論系の新刊が多くて、どうも読書ペースが落ち気味。 やっぱ小説読まないと。

(2002.03.02)


謎のギャラリー 名作館 本館/北村薫 (新潮文庫)

★★★  

「本格原理主義者」の北村薫さんが送る、ちょっと変わった「名作紹介アンソロジー」。

基本的に北村薫さんと編集者との会話で進んでいきます。 テーマ別に、今となっては手に入りづらい作品を紹介する、 という趣向。さらにその中のいくつかは、 続巻の「謎のギャラリー」のアンソロジーに収録されてます。

しかしホント、詳しいですね。 あと、編集者とのやりとり。 いきなり話が飛ぶところなどは、円紫師匠の話し方を彷彿とさせました。

(2002.02.23)


探偵ガリレオ/東野圭吾 (文春文庫)

★★★  

科学トリックをテーマにした連作短編集。

東野さんは元々理系の会社出身ですし、ミステリでも分身、宿命、ブルータスの心臓、 といったいわゆる「理系ミステリ」を書いてるので、 こういうのはお手の物なのでしょうが、 敢えて「科学トリック」に焦点を絞ったマニアックなミステリを書いてみたそうです。

どれもそれなりに面白いです。ですが、 確かに犯行シーンは派手だったり、不思議だったりするのですが、 タネを明かされても「ふーん」で終わってしまうんですよね。 ここが普通の本格ミステリのトリックとの違いでしょうか。 自分が知らない知識を使って不思議なことをされても、 感心するだけで、驚くことはできないんですね。

(2002.02.15)


かっこ悪くていいじゃない/森奈津子 (祥伝社文庫)

★★★  

28歳の美里はバイセクシャル。多くの恋をしてきたが、 深みにはまった男性は初めてだった。そんな彼女の前に、 昔の「恋人」を髣髴とさせる女性が現れて…。

祥伝社400円文庫の1冊。西澤保彦さんの「奈津子、孤島に囚われ」 がなかったら、恐らく手に取る事はなかったでしょう。 まあ、400円だし。

恋愛小説です。っていうか、一歩間違うと官能小説のような(汗)。 しかしこれと「奈津子、孤島に囚われ」を読んだら、 森奈津子さんはバイセクシャルだと思いますよ、確実に。 いいんですね、思ってしまって。

(2002.02.12)


大密室/有栖川有栖・恩田陸・北森鴻・倉知淳・西澤保彦・貫井徳郎・法月綸太郎・山口雅也 (新潮文庫)

★★★☆ 

「密室」をテーマにした骨太の本格アンソロジー。しかも各人の「密室」に関するエッセイつき。

どれもなかなか読み応えのある作品でした。 見せ方では恩田陸さんの「ある映画の記憶」が、 プロットでは山口雅也さんの「人形の館の館」が、 トリックでは北森鴻さんの「不帰屋」が、 幕切れでは法月綸太郎さんの「使用中」が、それぞれ面白かったです。

(2002.02.12)


ミステリ・アンソロジーII 殺人鬼の放課後/恩田陸・小林泰三・新津きよみ・乙一 (角川スニーカー文庫)

★★★☆ 

角川スニーカー文庫のミステリ・アンソロジー第2弾。 今回はホラーっぽい作品が集められてます。

恩田陸さんの「水晶の夜、翡翠の朝」。タイトルが十二国記みたいですが(笑)、 イギリスの全寮制の学園を舞台としたシリーズものみたいです。 このシリーズは読んだことないんですけど(「麦の海に沈む果実」というらしい)、 なんかこの断片は「三月は深き紅の淵を」 の第4章で出てきたの話に似ているような…。

小林泰三さんの「攫われて」。小学校時代の誘拐事件のことを突然語りだす恵美。 いや、これはオチが全く読めなかった。まさかそう来るとは。

新津きよみさんの「還って来た少女」。自分にそっくりの幽霊を見かけた少女。 超常現象っぽい体裁を取りながらもしっかりと本格してます。

乙一さんの「SEVEN ROOMS」。七つの部屋に監禁された六人の少女。 理不尽といえばこれ以上理不尽なことはない、というホラー。 久しぶりに乙一さんのストレートなホラーを読んだ、 って感じですね。

文庫の性質からか、登場人物がみんな学生に設定されてますが、 それなりに面白かったです。っつーか、ホラーには子供の方が似合う? 前回の「本格」テーマのアンソロジーよりも良かったです。

(2002.02.02)


光と影の誘惑/貫井徳郎 (集英社文庫)

★★★☆ 

貫井徳郎さんの中編集。中編4編が収められてます。

「長く孤独な誘拐」は奇妙な操り誘拐事件。 デビュー作の「慟哭」や「誘拐症候群」でもあるように、 貫井徳郎さんは誘拐モノは得意分野。 しかし重過ぎるよなあ…。

「二十四羽の目撃者」は打って変わってアメリカの保険会社委員が主人公の、 ハードボイルド風味の一編。軽い感じでいいですね。 収録作中では一番楽しめました。

表題作「光と影の誘惑」は、貫井さんお得意の叙述トリックが炸裂する一編。 って言っちゃったらネタバレか?いや、でも章番号に印がついてたりして、 そうであることはほのめかしてますから。私の途中で気づきましたが、 後で読み返してみるとうまいなあ、という感じですね。

「我が母の教えたまいし歌」も、途中で真相には薄々感づきましたが、 それでも見せ方がうまいですね。

というわけで、貫井さんの「技巧」が味わえる中編集でした。

(2002.01.29)


御手洗潔のメロディ/島田荘司 (講談社文庫)

★★★  

御手洗潔シリーズの第3短編集。 私は御手洗シリーズの長編は、3本しか読んでないので、 そんなに熱心なファンではないということを最初に断っておきます。

「IgE」は、とあるファミリーレストランでなぜか便器が壊される、 という謎から殺人事件まで発展するという、一番本格らしい作品。 本短編集中で一番楽しめました。 「いくら何でもそれだけの手がかりからそこまでは無理だろー」 とは思いましたが。

「SIVAD SELIM」は事件的なことは起こらないのですが、 御手洗潔の新たな一面が見える作品。 ただなあ、この作品の、石岡の御手洗に対する態度は、 どうみても納得できないものが。一体何様のつもり? 導入のそこで詰まづいてしまったので、オチで素直に感動できませんでした。 いい話だとは思うんだけど。

「ボストン幽霊絵画事件」は、御手洗がハーヴァード大学の学生だった時の話。 うーん、前の作品くらいから、何か御手洗のキャラが暴走し始めてる感じが強くなってるなあ、とは感じたのですが…。

そして最後の「さらば遠い輝き」では、何と御手洗はスウェーデンで脳心理学の研究者になってます。

なんか、御手洗潔の色んな魅力を…と考えてるうちに、 いつの間にかスーパーヒーローみたいになってしまってますね。 熱心なファンならばいいのでしょうが、正直私はヒいてしまいました。 巻末の「自作解説」を読んで納得しましたけどね。 なるほど、大きなお姉さん向けだったのか…。

(2002.01.24)


六枚のとんかつ/蘇部健一 (講談社文庫)

★★★  

第3回メフィスト賞受賞の「バカミステリ」。 しょーもない(←褒め言葉)ミステリが詰まった連作短編です。

井上夢人さんの「風が吹けば桶屋が儲かる」のように、 得られた手掛かりから推理して得られた結論が、 実は全然間違った…というパターンが多いです(それだけではないんですが)。 こういうパターンの場合、一つのシチュエーションに対して、 2通り(以上)の推理の筋道を考えなくてはならないので書くのが大変そうです。 でもこの作品の場合は、そのうちの一つがあまりにバカバカしいことが多いので、 そんなでもないのかな?(笑)

中ではやはり「しおかぜ17号四十九分の壁」と「丸の内線七十秒の壁」 の2つの「アリバイもの」が秀逸ですね。 「トラベルミステリのアリバイくずし」そのものをパロディ化したというか。 あと、表題作の「六枚のとんかつ」、 およびそれのリミックス版というべき「五枚のとんかつ」も面白かったです。

作品によって出来不出来の波が激しいので、 平均すると★★★でしたが、上記三作品に関しては十分★★★☆レベルでした。

(2002.01.20)


バベル消滅/飛鳥部勝則 (角川文庫)

★★★  

殉教カテリナ車輪でデビューした作者が送る、 自作の絵と本格推理を組み合わせた小説。 3つの死体の傍に繰り返し現れる「バベルの塔」は一体何を意味するのか?

うーん、これはちょっといただけなかったなあ。 ○○トリックなんだけど、「騙されたー!」って感じが少なくって、 「はあ、そうですか」って感じ。何でだろうなあ。 綺麗に騙される作品と具体的にどこが違うのかは指摘できないんですが、 なんかとっても無理矢理な感じを受けました。 第1部の記述者の心理状態もかなり鬱になるし。

(2002.01.16)


亜智一郎の恐慌/泡坂妻夫 (双葉文庫)

★★★☆ 

「亜愛一郎」シリーズの姉妹篇。 ご先祖様と思われる亜智一郎が探偵役として登場。

時は江戸時代、13代将軍家定の時代。 安政の大地震を期に結成された、将軍直属の「雲見番」。 奉行所や、有名になってしまって無力化した御庭番に代わり、 秘密のミッションをこなす。

亜愛一郎と同じく、普段はぼーっと雲ばかり見てるような亜智一郎ですが、 いざという時の洞察力はさすが。 また歴史上のイベント(安政の大獄など)をうまく絡めてあったりして、 構成も見事。

(2002.01.12)


アンハッピードッグズ/近藤史恵 (中公文庫)

★★★  

近藤史恵さんの恋愛小説。

いや、ミステリじゃないことはわかってたんですが、 やっぱり恋愛小説でした。

しかしこの主人公の女性の妙に冷めた感じや、トラウマを抱えた感じは、 他の近藤さんの作品に出てくる女性にも共通するものがありますね。

(2002.01.10)


ミステリ・アンソロジーI 名探偵はここにいる/太田忠司・鯨統一郎・西澤保彦・愛川晶 (角川スニーカー文庫)

★★★  

スニーカー文庫とは思えない本格なラインナップのアンソロジー。 しかし内容はちょっと手ごたえに欠けたかなあ。

太田忠治氏の「神影荘奇談」は、少年探偵狩野俊介が活躍するシリーズ探偵もの。 こちらのシリーズは未読なのですが、 この作品に関して言うと、謎はかなり突飛ですが、 真相がなあ…という感じでした。 これはスニーカー文庫の読者層に合わせたのかもしれませんが。

鯨統一郎氏の「Aは安楽椅子のA」は、その名の通り安楽椅子探偵モノ。 しかしその探偵役のバカバカしさには思わず笑ってしまいました。

西澤保彦氏の「時計じかけの小鳥」は、シリーズものでこそありませんが、 西澤氏お得意の「仮説を立てては崩し立てては崩し」が見られます。 そこはかとない後味の悪さまでタック&タカチシリーズに似てたりして。

愛川晶氏の「納豆殺人事件」は、シリーズものらしいです。 納豆嫌いな男の死体の胃から出てきた大量の納豆、 というシチュエーションが面白いですね。 収録作では一番面白かったかな。 解決がちょっと断定的過ぎるような気もしますが、 短編だとしょうがないかな。

(2002.01.09)


華胥の幽夢 十二国記/小野不由美 (講談社文庫)

★★★☆ 

十二国記初の短編集。戴(と漣)、慶(と雁)、芳、才、奏(と柳)、をそれぞれ舞台とした5つの話が収められてます。

長編のエピソードの隙間を埋めるものであったり、本編では脇役に過ぎなかった国のエピソードだったり、 なかなか興味深かったです。しかし、国を保つということは大変なことなんだなあ、 と思いますね。

ああ、これで出てる十二国記は全部読んでしまった…。 で、こういうページ探せば絶対あると思うんですが、 我慢できずに作ってしまいました。 根がこういうの作るの好きなんだよなあ。

→十二国データファイル

(2002.01.06)


黄昏の岸 暁の天 十二国記/小野不由美 (講談社文庫)

★★★☆ 

十二国記長編では現在出ている最後の作品。

泰王即位から半年、反乱制圧に自ら出かけた泰王が行方不明に。 同時に宮殿でも蝕が起こり、泰麒は再び蓬莱へと流されてしまう…。 偽王が起ち妖魔が跋扈する戴国から逃げ出した李斎は、景王陽子へと助けを求めた。

泰麒メインの話で、あの「魔性の子」の裏ストーリー、とも言うべき物語。 あの物語の裏側では、一体何が行われていたのかがよくわかります。 なるほど、漣国の廉麟はあちらとこちらを結ぶことのできる重宝を持っていたのですね。 使令の一つ目の白い犬も出てきたし(喋り方が爺さんなのは笑った)。 そして、なぜわざわざ延王自らが蓬莱に渡らなければならなかったのかもわかりました。 っつーか、「魔性の子」を書いた時点で既にここまでの細かい設定を考えていたのでしょうか? おそるべし、です。

範国の氾王と氾麟は今までに無いキャラで楽しいですね。

しかし戴国はこれからどうなるのでしょうなあ。 この結果が出るのは相当先のことになるんでしょうね。

(2002.01.04)


図南の翼 十二国記/小野不由美 (講談社文庫)

★★★☆ 

なんか1日1冊ペースで読んでますが(笑)、2002年の一発目も十二国記シリーズから。

前王がいなくなって20年、いまだに王が立たない恭国では、 荒廃が進み、山奥にまで妖魔が跋扈するようになってきた。 豪商の娘・珠晶は、自ら王となるために蓬山を目指す…。

12歳の高ビー系お嬢様・珠晶が供王となるまでの物語。 幼いながらも色々な事を考え、そしていつの間にか他人を引き付けていく、 不思議な魅力を持つ珠晶。 最後の方にちらっと出てくるゲストキャラは、シリーズものならではの読者サービス、 って感じですね。 それにしても供麒は苦労しそうだなあ…。

さて、ここまでで、慶国・雁国・戴国・巧国・恭国・芳国・奏国・才国の情報は出てきました。 柳国もちらっと出てきたかな? 「魔性の子」に「レンリン」ってのが出てきたから、 泰麒メインの話で漣国も出てきそうですが、 残りの国(範国・舜国)は出てくるんですかね?

(2002.01.02)


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