推理小説の部屋

ひとこと書評


人狼城の恐怖 《第1部・ドイツ編》/二階堂黎人 (講談社ノベルス)

★★★  (未確定)

先に第2部・フランス編を読んでた人狼城の恐怖。 ようやく第1部を読み終わりました。

相変わらず密室・首無し死体・死体消失のオンパレードですね。 これだけ大風呂敷広げて本当に解決するのか? というのが不安でもあり、 楽しみでもあります。

現時点でフランス編より☆1つ少ないのは、 フランス編が最後でどんでん返しがあって小さな謎が解決したのに比べて、 こちらはどんでん返しがあるにはあったけど、謎が余計に増えただけだという(笑)、 その点でちょっとマイナス。でも面白いですけど。 いや、ホント解決してくれるんだろうなあ?

(1998.12.30)


りら荘事件/鮎川哲也 (講談社文庫)

★★★☆ 

本格大好きだというのに、実はまだ鮎川哲也先生の作品を一つも読んだことがなかった、という… (アンソロジーの編者としての作品はいくつか読みましたけど)。 というわけで、初めて読みました。 さすがに、トリックとかは途中で想像がつくのが多かったですが (なんか伏線の張り方がわかりやすい…)、 それでも「小技」が効いていて、全体としてのまとまりはやはり大した物ですね。 これ読んでしまうと、やはり「殺人喜劇の13人」はテンコ盛りだけど まとまりにかけるなあ、という感想を持ってしまいます。 でもあれはあれでサービス精神旺盛だったからまあいいか。

(1998.12.27)


そして誰かいなくなった/夏樹静子 (講談社文庫)

★★★☆ 

アガサ・クリスティの代表作「そして誰もいなくなった」をふまえて、 別のミステリへと作り替えた作品です。「そして誰もいなくなった」 を未読の人は読まない方がいいですね(ネタバレになってしまいますし)。 プロットなどはそっくり(というか、「そして誰もいなくなった」を踏まえたプロットになってます) ですけど、一捻りしてあってなかなか感心しました。 あまり書くとネタバレになりそうで、あんまり書けない(^^;)。

(1998.12.27)


すべてがFになる/森博嗣 (講談社文庫)

★★★★ 

1ヶ月遅れでようやく発売された森博嗣氏のデビュー作。 しかしびっくりしたんですけど、ノベルス版って1996年発売だったんですね。 ということはたった3年間であれだけの作品を?? しかもデビュー作が文庫化されたその時には既にシリーズ(10部作!)が完結してるとは…。 驚きです。私が今まで読んできた作家って、綾辻氏といい有栖川氏といい、 どちらかというと遅筆な人が多かったので…。 綾辻氏なんか、すでにシリーズ全部が文庫化されて2年くらい経つのに、 まだ新作出ないしなあ…。

内容ですが、ちょっと設定とか登場人物の言動が変わってますが、 本格パズラーとしてよくできてますね。よく言われてることですが、 やはり死体の登場シーンが衝撃でした。 トリックも、コンピュータ…の方は想像がついたんですが、 もう一つの方(うーん、ネタバレにならないように書くのは難しい^^;)は 完全にやられた、という感じでした。

よく「理系ミステリ」と呼ばれてるみたいですが、理系の私から見ても やっぱ犀川と萌絵の感覚はちょっと変でしょ、って感じがしました。 理系がみんなこんな会話してると思われるとなあ(^^;)。 考え方も、共感できるところもありーの、 でもちょっとそれはなあ、と思うところもありーの。 ただ、萌絵のキャラはどうもなじめんなあ。

これからシリーズを読んでいくのが楽しみです。

(1998.12.20)


シュロック・ホームズの冒険/ロバート・L・フィッシュ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

★★★  

友人から借りたホームズのパスティシュもの。原典のもじりなどが結構凝ってますね。 でもこういう「間違った解決もの」って (井上夢人の「風が吹けば桶屋がもうかる」でも思ったんだけど)、 同じ手掛かりから正しい解決と間違った解決の2通りを考えなくちゃいけないので、 作者としては倍大変ですよね。

個人的に好きな作品はやはり「E=mc^2」の暗号(?)を解くやつですね。 オチが素敵。

(1998.12.20)


人狼城の恐怖 《第2部・フランス編》/二階堂黎人 (講談社ノベルス)

★★★☆ (未確定)

さあ、ついに読み始めた、現在のところ「世界最長の推理小説」であるらしい 「人狼城の恐怖」。 第1部ドイツ編と第2部フランス編はどちらから読んでも構わない構成になっているらしく、 たまたま行った書店で第1部がなかったので、 それならということで第2部から先に読んでみました。

いや、すごいですね。死体消失、密室殺人、首の無い死体、のオンパレード。 甲冑が動き出すところなんか「悪霊の館」を彷彿とさせますが。 まだ第2部だけではなんとも言えませんけど、期待は大です。

しかし長いよなあ。最近忙しくてあんまり読む時間が取れなかったこともありますけど、 2週間もかかってしまいました。この調子だと「人狼城」だけ読み続けても、 読破するには2ヶ月かかる計算に!? しかも「F」とか出てしまったからそっち読むし。 「第1部」を読み終わるのはいつになるのかなあ。

(1998.12.13)


殺人喜劇の13人/芦辺拓 (講談社文庫)

★★★☆ 

HIROさんの本格ミステリー・色 HIRO邸の第8回ネタバレチャットのテーマ小説でした。

うん、いかにもデビュー作らしく、「テンコ盛り」という感じですね。 密室、アリバイ、暗号、叙述、そしてメタミステリの要素まで。 最初はちょっとその文体にとまどいましたけど、 あれもワザとだったわけですね。

なかなか面白かったんですが、やっぱり登場人物がいまいち把握しきれないまま、 次々と死んで行ってしまうのがちょっと難点ですかね。

全体的にはなかなか面白かったです。 多の作品も文庫が出たら読もうと思います。

(1998.11.28)


悪霊の館/二階堂黎人 (立風書房)

★★★  

蘭子シリーズの長編第4弾。分厚い(笑)。ホントどんどん厚くなりますね。 なるほど、この調子で厚くなってしまって「人狼城」はあそこまで行ってしまったのね。

で、この作品もまた密室が登場。うーん、このこだわりは素晴らしい。 よくもまあここまで密室にこだわってトリックを考え付きますね。 その他にも幽霊やら中身の消えた甲冑やら怪奇風味がテンコ盛り。 ごちそうさまって感じです。

トリックはまあまあ面白かったかな。 さあ、ようやく「人狼城」にとりかかれます。

(1998.11.24)


天空の蜂/東野圭吾 (講談社文庫)

★★★★ 

面白かったですね、これも。結構分厚いのに1日半で一気に読んでしまいました。 クライム・サスペンス、ということでミステリ度はちょっと低目ですが、 それでも最後まで「動機」が謎として残るなど、 さすがの構成です。

個人的には最後の解決がちょっと…。まあ、でも十分面白かったです。 しかしホントに多才な人ですね〜>東野圭吾さん。

(1998.11.15)


怪笑小説/東野圭吾 (集英社文庫)

★★★☆ 

東野圭吾さんのユーモア短編集。うーん、こういう小説も書けるのか。 あらためてびっくり。

個人的に好きなのは「超たぬき理論」ですね。 途中のへ理屈も面白いけど、最後のオチが効いてますね。

(1998.11.15)


吸血の家/二階堂黎人 (立風書房)

★★★  

蘭子シリーズの第2長編に当たるそうです。文庫で出る予定がないようなので (立風書房の文庫って見たことがないんだけど…)、ノベルスで購入。

うん、これは結構面白かったです。しかしこの人、密室にこだわりますねえ。 やはりカーの後継なんでしょうか。 密室トリックの方はいまいちでしたが、 足跡トリックの方は結構感心しました。2つとも。

(1998.11.22)


ユリ迷宮/二階堂黎人 (講談社文庫)

★★★  

短編集。うん、これはなかなか面白かったです。 1作目の派手なトリック、2作目の畳み掛けるような展開、 3作目の安楽椅子探偵ぶり、などどれもなかなかいいです。 キレがあっていいですね。

第2短編集の「バラ迷宮」も読んでみたいけど、 まだ文庫にはならないのかなあ。

(1998.11.22)


聖アウスラ修道院の惨劇/二階堂黎人 (講談社文庫)

★★☆  

というわけで、続けて2作目。これは長編としては3作目に当たるようですね。

うん、前のよりは面白かったです。特に密室トリック、 1つ目のはアレですが、2つ目のには結構感心しました。

思うんですけど、「しかしこれは悲劇のほんの序幕に過ぎなかったのだ」とか、 そんな感じの「ヒキ」があまりにしつこくないですか? いや、いいんですけど、読んでる方としてもある程度はわかって読んでるんだから、 そんなにもったいぶらなくても…と思ってしまうんですけど。

しかし最後の大スペクタルな展開はなんとも(笑)。

(1998.11.22)


地獄の奇術師/二階堂黎人 (講談社文庫)

★★   

二階堂黎人を読み始めました。 現時点で世界最長の推理小説だという「人狼城の恐怖」を読むために、 一応シリーズを押さえておいた方がいいだろう、というわけで。

で、読んでみたんですが、ちょっと辛かったです。 まず膨大な注釈が、読みづらい。いや、面白いんですが、 やっぱ読んでる流れが中断されますよね。

トリックもなんとなくわかってしまうし、それほど感心しませんでした。

最後がハリウッド映画並みの大立ち回りになってしまう辺りで苦笑してしまいましたが、 これはシリーズの特徴のようですね。

(1998.11.22)


七回死んだ男/西澤保彦 (講談社文庫)

★★★★★

これは面白い! 元々この「時が繰り返すが、それを認識しているのは一人だけ」 というテーマは大好きなんですよ。「リプレイ/ケン・グリムウッド」や 「ターン/北村薫」、映画だと「恋はデ・ジャヴ」、 漫画だと「ジョジョの奇妙な冒険・第4部」の「バイツァダスト」とか。

で、これはそういうSF的設定を導入した中でのミステリなんですが、 十分本格パズラーになってます。伏線も十分効いてます。 解決もいいですね。最後にもう一ひねりしてあるところもよいです。

これ読んで、他の西澤さんのSF系新本格も読んでみたくなりました。 文庫化待たずにノベルスで買っちゃおうかなあ。

→「リプレイ」ノススメ

(1998.11.15)


分身/東野圭吾 (集英社文庫)

★★★★☆

いやあ、面白かったです。 鞠子と双葉のパートが交互に書かれる構成がうまいですね。 それぞれがアウェイで調査をする、という展開もうまい。 二人が一体いつどこで出会うのか、を引っ張るのもうまいですね。 一気に読んでしまいました。

(1998.11.15)


夏と冬の奏鳴曲/麻耶雄嵩 (講談社文庫)

★☆   

一読して、「なんじゃこりゃあ」と思わず本を放り投げてしまいました。

前作「翼ある闇」は、ごった煮ながらも結構楽しめたのですが (ミステリ読んでない人お断り、みたいな雰囲気はあったけど)、 これは駄目だ。理解の範囲を超えている。

やっぱり何と言っても後半ですね。 例のくだりから急激に物語が崩壊して行くというか、 「え?え?一体何なの?」と思って読み進んで行くと、 特に何の解決もないまま放り出されてしまう。 「麻耶氏、とうとうイッてしまわれたか…」という感じでした。ハイ。

で、納得できる答を捜して、いろんなサイトの感想とか読んでみたんですが、 これはやはり「わからない」のが普通のようですね。 ああ、これで良かったんだ、と妙に安心してしまいました。 で、この独特の雰囲気が結構好きな人も多いということもよくわかりました。

でもなあ。あの長さの小説を読まされて、オチがアレってのは、 やっぱりちょっと辛いものがあるなあ。 今後の麻耶氏の小説を読むのがちょっと怖くなってきました。 まあ、文庫落ちしてきたら読むとは思いますけど。

(1998.11.08)


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