推理小説の部屋

ひとこと書評


りぽぐら!/西尾維新 (講談社文庫)

★★★  

特定の文字を使わずに小説を書く、という「リポグラム」に挑戦した作品。 元となる短編小説は、3編。
高校生の妹がある日クラスメイトを殺してしまったのを発見する兄「妹は人殺し!」。
返せないほどの巨額の借金を背負った主人公が一発逆転の「山崩し」ならぬ「札束崩し」に挑む「ギャンブル『札束崩し』」。
監視カメラならぬ監視カメラがあらゆるところで人々の行動を監視し「善行」ポイントによって支配される逆説的なディストピア近未来を描いた「倫理社会」。

レベル1は、最初に共通フリーワード6文字を指定し、残り40字を10字ずつ4グループに分け、それぞれ禁止ワードとする、というもの(各グループで使用可能な文字は36字ずつ)。
レベル2は、46字から10字ずつ4グループに振り分け禁止ワードとし、余った6文字が共通フリーワードとなる。 各グループで使用可能な文字数は36字でレベル1と同じだが、フリーワードを選べないところが難易度アップ。
レベル3は、46字から10字ずつ4グループに振り分け禁止ワードとし、余った6文字はどのグループでも使えない厳禁ワードとなる。 各グループで使用可能な文字数は30字。

制約が強くて、古文調になってしまったり、関西弁になってしまったのがあったり、良くやるなあ、という感想です。

(2022.06.21)


四畳半タイムマシンブルース/森見登美彦 (角川文庫)

★★★★☆

「四畳半神話大系」と劇団ヨーロッパ企画の「サマータイムマシンブルース」がコラボ! 暑い京都の下宿を舞台に、世界一くだらないタイムマシンの使い方をして、世界を崩壊から救え!

タイムトラベルものは大好きですし、それに大好きな四畳半シリーズがコラボしたら、そりゃ最高な作品になりますよね。 タイムトラベルものの場合、過去の行動で現在がどう変わってしまうのか、みたいなのが見所の一つだった利しますが、 本作ではいかに歴史を変えないように努力するところが見所。初読で違和感を感じたところも、 後からちゃんと辻褄が合うようになっています。 劇場版アニメにもなるそうで、楽しみです。

(2022.06.16)


祝祭と予感/恩田陸 (幻冬舎文庫)

★★★★ 

「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ短編集。「○○と××」でタイトルが統一された短編6編を収録。 それだけだとボリュームが少なかったのか、巻末からは「響きと灯り」と題した、 クラシックに関連するエッセイを収録。

やはり風間塵、マサル、亜矢が主人公なんだなあ、ということがわかる短編集。 明石が出てくる短編も読みたかったですね。

(2022.05.20)


蜜蜂と遠雷(上)(下)/恩田陸 (幻冬舎文庫)

★★★★ 

多国籍で恵まれた体を持つマサル、一度音楽界から去った亜矢、コンテスタントとしては最高齢の明石、 天衣無縫な塵。4人の天才を巡る、ピアニストの物語。

登場人物が多いのですが、スムーズに導入されていくのと、登場人物間の関係も含めて紹介されていくので、 すっと入ってきますね。風間塵が「天衣無縫の極み」、マサルが「才気煥発の極み」といった感じでしょうか (かと言って亜矢が「百錬自得の極み」かと言われると、ちょっと違うかな、と)。

(2022.05.15)


殺人鬼がもう一人/若竹七海 (光文社文庫)

★★★  

辛夷ヶ丘警察署生活安全課に左遷されてきた砂井三琴は、身長180cm三白眼の大女。相棒の脂ギッシュな中年田中盛とのコンビで、様々な事件に向かうが、出てくる住民は一癖も二癖もあるやつらばかりで……。

都心まで一時間半の寂れたベッドタウン(という架空の町)辛夷ヶ丘(こぶしがおか)を舞台に繰り広げられる連作短編集。 住民、警察官含めて全員悪人!という毒気たっぷりなブラックコメディミステリ。 コージーミステリが得意な若竹さんが悪意を振りまくとこうなるんだな、という感じで面白かったです。

(2022.05.07)


掟上今日子の家計簿/西尾維新 (講談社文庫)

★★★☆ 

忘却探偵シリーズ第7弾。「掟上今日子の叙述トリック」という作品も収録されていますが、 叙述トリックが使われているのは他の作品という……。

(2022.04.24)


歌舞伎座の怪紳士/近藤史恵 (徳間文庫)

★★★  

かつての職場でセクハラ・パワハラに逢い、メンタルを病んでしまった久澄。 働く母と同居し、弁当を作ることと姉の犬の世話をすることで収入を得る日々だったが、 祖母から代わりに観劇をしてくれないか、というバイトの話が舞い込む。 初めて触れる歌舞伎、オペラ、演劇。それらの体験が彼女をまた外の世界へと誘う。

観劇していると必ず現れる謎の紳士と、そこで出会う「日常の謎」系の話。 しかし近藤さん作品らしく、主人公以外も結構色々と闇を抱えていたりして。

(2022.04.18)


歩道橋シネマ/恩田陸 (新潮文庫)

★★★☆ 

恩田陸さんのノンジャンル短編集。日常の謎あり、ホラーあり、ミステリあり、SFあり。 ページ数も30Pくらいのものから、10P未満のショートショートまで、色々18編を収録。

「再鎖国」した未来の日本で、西洋文化に関する知識が失われ、12/25に「冬至祭り」という、 赤い服を着た「三田」と呼ばれる男が、土を詰めた靴下を手に「悪面(アーメン)悪面(アーメン)、悪い子はいねがーっ」と叫びながら家に侵入してくる風習はどこから来たのか? を色々考察しながら解き明かそうとする「柊と太陽」が面白かったです。

(2022.04.08)


言語が違えば、世界も違って見えるわけ/ガイ・ドイッチャー (ハヤカワ文庫)

★★★★ 

言語が違うことは、人々の認知に影響を与えるのか?という考察。

「言語は鏡」「言語はレンズ」。面白かったです!

(2022.03.27)


人類最強のときめき/西尾維新 (講談社文庫)

★★★  

「人類最強」シリーズ第3弾。これまで宇宙人やら海底人やらと戦ってきた「人類最強」ですが、 今回の敵は、超絶スピードで成長・進化する植物、そして読むと死ぬまで読んでしまう小説。 もう人間では相手にならないので、敵がどんどん化け物時見て来てますね。

さらに短編「哀川潤の失敗」も3編収録。

(2022.03.07)


帝都探偵大戦/芦部拓 (創元推理文庫)

★★★  

江戸時代の「探偵」達が活躍する「黎明篇」、戦前の不穏な空気の中大戦を阻止しようと探偵達が暗躍する「戦前篇」、 そして戦後の財閥御曹司入れ替わり事件を阻止するべく探偵達が暗躍する「戦後篇」、 さらにボーナストラックとして鮎川哲也先生の2大探偵が競演するパスティーシュ「黒い密室」を収録。 登場する探偵の数は50人!

明智くんとかの有名どころ以外はほとんど知らない探偵ばかりでしたが、楽しめました。 最後に探偵図鑑もついています。

(2022.02.15)


早朝始発の殺風景/青崎有吾 (集英社文庫)

★★★☆ 

高校生たちを主人公たちにした、「日常の謎」系連作短編集。

始発電車に乗り合わせた男女が互いの目的を探り合う表題作「早朝始発の殺風景」。
女の子3人組がファミレスでダベっているうちに秘密が明らかになる「メロンソーダ・ファクトリー」。
3年生の追い出しに来た遊園地で何故か同性の後輩と観覧車に乗るハメになる「夢の国には観覧車がない」。
両親が離婚してそれぞれの親の元で暮らす兄妹が久しぶりに会った時、妹は捨て猫を拾っていた「捨て猫と兄妹喧嘩」。
風邪をひいて卒業式に出られなかったクラスメイトの家に卒業証書とアルバムを届けに来たクラス委員が気づいた秘密とは?「三月四日、午後二時半の密室」。

各話に共通の登場人物はいませんが、表題作のボーナストラック的な「エピローグ」で全員カメオ出演しているのがいいですね。

(2022.02.01)


ジグソーパズル48/乾くるみ (双葉文庫)

★★★☆ 

私立曙女子高等学校の生徒が登場人物の連作短編。 「ラッキーセブン」「GIVE ME FIVE」「三つの涙」「女の子の第六感」「マルキュー」「偶然の十字路」「ハチの巣ダンス」 と各話のタイトルに数字が入っており、その数字の数だけ主要人物が紹介されています。 そして全部足すと48になるという趣向。

いきなり生徒会を舞台にしたデスゲームが始まるという突拍子もない展開ながら、中身は超ロジカル。 そしてラストではアクロバティックな叙述トリックが。 乾くるみさんらしさが良く出た連作短編でした。

(2022.01.23)


こうして誰もいなくなった/有栖川有栖 (角川文庫)

★★★  

有栖川有栖のノンシリーズ作品を集めた短編集。最短2ページの超短編から、中編となる表題作まで、 ジャンルもホラーやファンタジーからミステリまでバラエティ豊かに収録。

表題作はクリスティの「そして誰もいなくなった」の本歌取り。 探偵役が火村でも江神でもないのを見るのはなかなか新鮮ですね。

(2022.01.12)


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