推理小説の部屋

ひとこと書評


幽霊が多すぎる/ポール・ギャリコ (創元推理文庫)

★★★☆ 

ポルター・ガイストやら、尼僧やら、ひとりでになるハープやら、 たくさんの幽霊が登場する館に、「心霊探偵」の主人公・ アレクザンダー・ヒーローが挑む、という物語。 かなり本格です。

しかし海外物は、読むのに時間がかかるなあ。

(2000.01.01)


シャーロック・ホームズの愛弟子・女たちの闇/ローリー・キング (集英社文庫)

★★☆  

「シャーロック・ホームズの愛弟子」のシリーズ第2弾。 うーん、なんというか、恋愛小説みたいになってきましたね。 ホームズもホームズらしくないしなあ(まあ、歳とってるから仕方ないか)。 なんか、ちょっと同人誌を読んでるような気になってきました。

(1999.12.19)


心の鏡/ダニエル・キイス (ハヤカワ・ダニエル・キイス文庫)

★★★★ 

突如ハヤカワより創刊された「ダニエル・キイス文庫」。 今まで高い単行本でしか読めなかった 「アルジャーノンに花束を」を初めとする作品群が、 いきなり文庫化されて、今まで単行本で読んできた人の立場が…。 いや、文庫化はいいことですが。

で、長編はほとんど読んでるので、短編集の心の扉を読んでみました。 この人はSF作家なんですね(いまさら)。 テーマが「心」「精神」「思考」といったあたりに集中してますが。

中では、やはり中編版「アルジャーノン」がいいかなあ。 最後の「ママ人形」はオチがいまいちよくわかりませんでした…。

(1999.12.04)


セッション−綾辻行人 対談集−/綾辻行人 (集英社文庫)

綾辻行人氏の対談集。

そんなことより、早く新作を!!

(「どんどん橋、落ちた」が出たけど、単行本だし。早く文庫落ちしてくれないかなあ)

(1999.11.28)


殺意の集う夜/西澤保彦 (講談社文庫)

★★☆  

嵐によって隔離された「山荘」で一気に6人もの人間を殺してしまった主人公。 しかし殺していないもう一人の人物も死んでいた。彼女を殺したのは一体誰か?

登場人物に感情移入できないので、前半読み進むのが辛かったです。 事件が転がり始めてからは読めましたが。

うーん、たしかに「これはちょっとハズしたかも…」という感じは拭えませんね。 まあ相変わらず伏線張りまくりなんですが。 でも最後の××は、ちらっと読み返してみましたが、それっぽい伏線ってあったのかなあ?

(1999.11.28)


詩的私的ジャック/森博嗣 (講談社文庫)

★★★  

この人は密室にこだわりますね。 しかも、どうやって密室にしたか(HOW)、 よりは何のために密室にしたか(WHY)の方を重視する、 という立場のようです。 この理由付けはなかなか面白かったです (なんか、ひとことですが)。

相変わらず、殺人の動機の方は納得しかねるんですが、 まあ、これはそういうシリーズなんでしょうね。

(1999.11.20)


全日本じゃんけんトーナメント/清流院流水 (幻冬舎文庫)

★★★  

視聴率70%を誇る年1回の国民的人気番組「全日本じゃんけんトーナメント」に なぜか出場することになってしまった、ついてない中学生・木村彰一。 目立つことが嫌いな彼は、早く負けたいと願うのだが、 なぜか勝ち続けてしまう。 果たして彼には100年に一度の「天恵運」がついているのか?

馬鹿馬鹿しい、といってはなんですが、 こういった設定で最後まで読ませるのは大したものだと思います。 清流院流水さんの本はこれが初めてなのですが、 これはかなりわかり易かったです。 「コズミック」や「ジョーカー」もやがて文庫化されるんでしょうか?

この木村彰一が主人公の作品はシリーズ化されてるようで、 今度は「国民クイズ」だそうです。 ちょっと楽しみ。

(1999.11.14)


覆面作家の夢の家/北村薫 (角川文庫)

★★★  

「外弁慶」のお嬢様・覆面作家の千秋さんが探偵役となる「覆面作家」シリーズの第三弾にして完結編です。 図書館で借りた単行本で一度読んでるのですが、 文庫化したので再読してみました。

なんちゅうか、このシリーズは、まるで少女漫画を読んでいるような、 妙に気恥ずかしい気持ちになりますね。 まあ、こういうシリーズもので、 ちゃんと完結してくれるのは、いいことです。 「私」シリーズはいつまで続くんでしょうか。

(1999.11.06)


名探偵登場/ウォルター・サタスナイト (創元推理文庫)

★★☆  

奇術師フーディーニ、ホームズの作者・アーサー・コナン・ドイルなどの、 実在の人物が登場するミステリ。内容はもちろんフィクションなのですが、 ドイルが妖精の存在を信じている神秘主義者として描かれているなど、 ある程度事実に基づいてキャラクターは作られているようです。

なんか久しぶりに海外翻訳物を読んだせいか、 なかなかノレなくて時間がかかりました。後半は面白くなったんですけどね。 どうも、登場人物にいまいち感情移入できませんでした。 フーディーニもドイルも。 あんまり実在の人物を使ってる意味は感じなかったなあ。

内容自体は古典的な本格物でした。

(1999.11.03)


凍える島/近藤史恵 (創元推理文庫)

★★★  

近藤史恵さんの作品を読むのはこれが初めてです。 京極さんの読了に3週間もかかった反動、というわけではないのでしょうが、 1日で読み終わってしまいました。

シチュエーションはまさに「誰もいなくなった」と同じような、 孤島での連続殺人ですが、 この古典的なテーマにどうやって新しい挑戦を埋め込むのか? トリックも重要な鍵になりますが、 どちらかというと登場人物達の愛憎関係がポイントとなる作品です。

しかし、正直なところ、登場人物達の心情に対して、 あまり感情移入できませんでした。 作品中の言葉で言うと「人種が違う」って感じでしょうか。 なので、その方向から「評価」するのは遠慮しておきます。

こういう作品って、女性の方がわかるのかなあ、やっぱり。

(1999.10.17)


文庫版 魍魎の匣/京極夏彦 (講談社文庫)

★★★★ 

文庫落ちの京極本、第2弾。いやあ、長かった。3週間かかりました…、

箱に手足が詰められた連続バラバラ殺人、密室から消失した少女誘拐事件、 怪しい「匣」の病院、怪しい「匣」教の教主…。 丹念な伏線によって描かれたバラバラの事件が最後につながるのは、 見事です。

登場人物(レギュラー陣)のキャラが立ってますから、 色々な場面が視点が変わって進行していくのが楽しいですね。 特に榎木津のパートが好きです (ところでなぜ関口のパートだけ一人称で書かれるんでしょう)。

正直、トリックとか真相はかなり読めましたが (それだけ丹念に伏線が張ってあるということなんでしょうけど)、 「姑獲鳥の夏」よりは納得が行きました。

(1999.10.17)


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