漫画の部屋

ジャンプの部屋・赤マルジャンプ2007 WINTER感想

合併号の長い休みの合間を縫って発売された赤マルジャンプです。

ToLOVEる―とらぶる― ミニイラスト集

袋とじ企画。
まあ予想通り、矢吹先生が好き勝手やってます。パンチラ、ハミパン、スク水、などなど。
さすがに風呂のヤツは規制入ったんですかねえ？

突撃!!宇宙撃滅隊!!／坂本裕次郎

巻頭カラー52ページ。
ジャンプ史上に残るダメテコ入れによってその名を轟かせた「タカヤ」の坂本裕次郎先生復活。
地球に隕石が落ちて以降、人類の10%に異能力を持つ「能力者」が現れた世界。能力を持たない一般人の主人公は、好きな女の子のために、主に能力者で構成される学園の自治警察組織「宇宙撃滅隊」に参加するのだった。
主人公が「タカヤ」と同じタイプ。ヒロインは巫女さん、ツンデレ、猫娘、と3タイプ揃えました、みたいな。
まあタイプが同じなのは、熱血少年マンガの王道だからいいとしても、特に能力を持たない主人公が根性だけでどうにかしてしまう、といういわば普通の漫画でいう「仕掛け」や「種明かし」に当たる部分まで、タカヤまんまなところはなあ。せめて相手の能力を逆手に取るくらいの真似はして欲しかった。
しかし坂本先生、まさかタカヤの打ち切りの原因を、
そうか。タカヤの時は学園モノからいきなり異世界ファンタジーモノになったから不評だったんだな。最初から学園モノでファンタジーをやれば良かったんだ。現代でファンタジーをやるには……超能力だ！
……なんて思っていないでしょうね……。

不恋愛戦隊ハヤタ☆ジョー／KAITO

本誌に2度ほど「ハピマジ」を代原で載せたことのある、KAITO先生の読み切り。39P。
転校生・小金井アキラは、もう一人の怪しい転校生・ハヤタジョーにより、勝手に「不恋愛戦隊青レンジャー」とされていた。今日もカップルから学園の平和を守るために戦うのだ。
不条理ギャグものに、エロコメ要素をプラス。うーん、しかしこれはどうなんだろうなあ。ギャグとしては正直同じく載っている斜塔タワー先生の「ゾンビくん」ほどのインパクトには欠けるし、エロコメ要素も何とも中途半端。なんか恥ずかしながらやっている感じを受けました。女の子は可愛く描けているので、もう少しどちらかに振り切った方がいいと思った。

籠球フラッシュ／及川友高

本誌2006年30号で「アポロのソラ」を載せた及川友高先生の読み切り。49P。
チビの陽丸は、1年前の屈辱をバネに、小さくても負けないバスケットを身につけていた。その屈辱を与えた張本人の双子の狼兄弟は、陽丸の熱さに打たれ、再びバスケへの情熱を取り戻すのだった。
大ゴマの使い方とか、躍動感とか、画力は申し分ない感じですね。
ライバルキャラが、基本的に嫌なヤツなんで、なんか最後一緒に部活やる、ってなってもあまりカタルシス感じないなあ。

MILE=LIFE!／斎藤修

溢れかえる囚人のために設立された「強制奉仕刑」。囚人・ヴェルは、命を繋ぐために、航空郵便で物や人を運び、「マイル」によって寿命を稼ぐしかないのだった。
「MILE=LIFE」というアイデアも秀逸ですが、ツンデレ刑務官と常に一緒に移動し、しかも方向音痴のためにいつもタイムリミットギリギリ、など、話を盛り上げるための舞台設定の作り上げ方が巧みですね。
個人的には「当日キャンセルで金額保障される」っていうところがツボでした。

赤マル恒例番外編!!袋とじ

家庭教師ヒットマンREBORN!番外編【黒曜の噂話①②】
- 骸のよくわからないセンスと、幼児羞恥プレイに耐えるクローム。というか、骸ってイタリア語話すんでしたっけ…。
エム×ゼロ番外編【聖凪高の朝】
- 魔法って学園の中でのみ使えるんじゃなかったでしたっけ。校門は既に学園の敷地の中だという認識なのかな。
魔人探偵脳噛ネウロ番外編【笹塚衛士のアクティブカルテ】
- 笹塚衛士は動かない、って感じの2ページで、ネウロも弥子も出ていないのに、しっかりネウロ風味が出てて、濃かったです。
- 特に座敷わらしと宇宙人のトランプがいいなあ。あと植物生えてるところ。
太臓もて王サーガ外伝2 中坊ですよ！
- 最後の実話が怖すぎです。
ボーボボ鼻毛劇場（その12）【ヘッポコ丸の修行】
- 魚なんて覚えてねー…。

白猫豆腐刀／佐藤真由

47P。物質の構成要素を斬ることで何でも斬ることのできる秘剣「豆腐刀」を操るシロネコ。地獄耳を持つウサギ。金次第で何でも盗む「ドロボー屋」による、人情活劇。
能力がかなり常人離れしている設定の割には、解決する事件がドロドロの心中劇っていうそのギャップが何とも。もうちょっと事件の方も超常現象絡めるとか、なんか常人離れした設定にしても良かったんじゃないでしょうかね。

Pictman／浅野由裕喜子

47P。「天才画家」との周りの評価に悩む14歳の五十嵐の元に、下手なくせに絵を描くことが大好きと公言する濱崎保弘が転校してきた。彼には、描いた絵を実体化させる不思議な能力があった。
絵を実体化させる、という能力自体はそれほど目新しくはないですが、主人公の正体は結構驚かされました。

流星ストーム／濱田浩輔

49P。男2人に女1人の幼馴染の3人。バスケによって結びついていた3人だったが、天才肌の万能人間はバスケをやめてしまう。3人の関係のバランスが狂い始めていた…。
バスケはダシに使われているだけで、3人の三角関係の恋愛劇がメイン。よって実はバスケでも何でもいいんですね。
3人の心情はよく描かれていたと思います。幼馴染の女の子もかわいく描けてますし。

island／古味直志

第39回ジャンプ十二傑新人漫画賞準入選。45P。
「壁」に囲まれた世界。子供たちは皆壁を乗り越えることを夢見ていた。文字を読めるマルーと、実験好きのアイラ。 2人は、壁の向こうの真実を知ってしまうのだが…。
独特の世界観、さらに主人公が女の子2人ってのも珍しい。最後の結論がちょっとわかりづらいのが難点ですね。

ものがたり／深山太陽

第41回ジャンプ十二傑新人漫画賞十二傑賞受賞作。31P。
モノと対話できる能力を持つ「ものがたり」。その能力を使って盗まれた妖刀を探すのだが…。
ちょっとテーマも解決もありきたりかなあ、という印象。もうちょっと捻って欲しかったですね。

KING'S GUN／ササイシンゴ

第38回ジャンプ十二傑新人漫画賞十二傑賞受賞作。31P。
半分に分かれた「王の銃」を手にしたピース＝メーカーは、その呪いにより不死身となった。呪いを解くために、もう半身である「女王の銃」を求め彷徨う。
独特のセンス。このセンスはどこかで見たことあると思ったら、ジャンプ the RevolutionのCRIMSON SNEAKERの人か。こっちの方が前なのかしら？
このセンスは磨けば武器になると思います。画力はそのうち上がるでしょうから、そうすれば描きたいことがもう少し読者にも伝わるようになるのでは。

ゾンビくん／斜塔タワー

ちょくちょく本誌に代原を載せている斜塔タワー先生のギャグ読み切り。19P。
斜塔タワー先生の定番らしく、主人公以外総ボケで主人公がひたすらツッコむ、というフォーマットですが、面白かったです。
ゾンビと似ても似つかないロボを絡めて、しかもそれに一応の理由がつけられているところは、ギャグながら凝った設定ですね。
オチも、もうなんか引っ込みがつかなくなってしまった、みたいな感じが出てて良かったです。

金と血／平浜矢陸

第40回ジャンプ十二傑漫画賞十二傑賞受賞作。31P。
アネアとユキソの兄弟は、政治犯として捕らえられた両親を救うために、金を出すことができるという魔人の元を訪ねた。魔人は兄弟にある賭けを持ちかけるのだが…。
これも独特の世界観が光る作品。「無血革命」というテーマでしっかりオチがついているところは見事。持って行きようによってはホラーとかサスペンスの方にも持っていけそうな舞台設定なのですが、なんかどこかほのぼのした感じになっているのはこの作者の持ち味でしょうか。

個人的には「MILE=LIFE!」「流星ストーム」「ゾンビくん」「金と血」が収穫でした。

(2007.01.16)

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